少女漫画誌「LaLa」で一世を風靡した異世界召喚の金字塔『彼方から』がアニメでよみがえる!今や定番となったジャンルの先駆作が、なぜいまも新鮮なのか。近年相次ぐ過去作のアニメ化という潮流を手がかりに、時を超える名作の魅力を探る。
10月5日、アニメ『彼方から』の放送が始まった。いつも通りの朝を迎えた高校生のノリコ(立木典子)は、ひょんなことから異世界へ飛ばされてしまう。たどり着いたのは、彼女が夢で見ていた、深い緑に覆われた森の中だった。何が起きたのかもわからないまま、「花虫」と呼ばれる異形の怪物に襲われたノリコは、ひとりの男性に助けられる。彼の名はイザーク。この世界に現れた「目覚め」を探しに来たのだ。「目覚め」とは、破壊をもたらす怪物「天上鬼」を目覚めさせる存在。権力者たちは「目覚め」を手に入れ、世界の覇者になろうともくろんでいた――。
◆スマホを手にしたノリコ、名作が“今”の物語に

ひかわきょうこ先生の原作コミックで描かれた異世界の物語が、躍動感ある映像によって目の前に繰り広げられる。そして驚かされる。ノリコがスマホを持っていたことに。そうか。これはまさに「現代」の物語なのだ。2026年の今年、創刊50周年を迎えたコミック誌「LaLa」でこの物語の連載が始まったのは1991年のこと。この当時、「LaLa」の看板マンガ家の一人であったひかわきょうこが、新たに描き始めた異世界召喚の物語は、一大叙事詩のようなスケール感で人気を博したのを覚えている。筆者は、ひかわきょうこ先生がそれ以前に描いていた『荒野の天使ども』、そしてその続編である『時間を止めて待っていて』に夢中になった子供だった。
『荒野の天使ども』は少女漫画には珍しい西部劇の物語だった。ダグラス、カード、ジョエルのカウボーイ風の3人の少年が旅の途中で出会った8歳の少女・ミリアムと共に牧場を救う冒険活劇だ。親の仕事の関係で「LaLa」が毎月家に届いていた我が家。周囲が「なかよし」「りぼん」「ちゃお」を読んでいた当時、「LaLa」は少し大人な物語が多く、背伸びをするような感覚で読んでいた中、自分とさほど年の変わらないミリアムが、拳銃を手に、仲間である3人や牧場主のグレースを守ろうとする姿に心が躍ったし、兄のように傍にいるダグラスたちが大好きだった。その後『時間を止めて待っていて』は17歳のミリアムと大人になったダグラスの恋が描かれるウェスタン・ラブストーリーで、こちらもミリアムの心情にドキドキしたり、涙したりと、毎月「LaLa」の最新号を手にするのが楽しみでならなかった。そのミリアムの物語が幕を閉じてから約3年後に始まったのが異世界召喚のストーリー『彼方から』だった。1991年から11年にわたり連載され、全5部で構成されたこの物語は、今や一大ジャンルとなった「異世界ファンタジー」の先駆的な作品だ。
◆『彼方から』が思い出させた「言葉が通じない」異世界の旅

ただ、昨今、小説やマンガのシーンを席巻する「異世界」モノと違っているのは、ノリコはイザークたちの暮らすこの世界の言葉がわからないこと。「そうじゃん。異世界に飛ばされる人たちって、たいてい言葉が通じているよね!」と、アニメ第1話を見て気がついた。そう、イザークとノリコは、会った当初、言葉が通じなかったのだ。作中では、画面が歪む演出とともにノリコとイザークの視点が切り替わる。意思の疎通が難しいながらも2人は旅を始めたけれど、ここからノリコはイザークやその後出会う人たちに教えを乞いながら「言語」を学び始める。

たどたどしい言葉から、だんだんと意思が伝わるようになり、人々との関係性を深めていくノリコの姿は、ある種の「戦うヒロイン」として確かな強さを備えたヒロインだと感じるし、そこには「異世界召喚」のリアルがある。そして冒頭の、異世界で彼女が手にしていた「スマホ」によって、連載当時と現代との隔たりも一瞬で埋まったことで、『彼方から』がリアリティを持って“今”の物語となっていくのだ。
◆なぜ今、過去の名作がアニメ化されるのか

電子書籍やサブスクリプション、動画配信の普及によって過去の作品に触れやすくなり、数十年前に発表された名作が改めてアニメ化される例も増えている。1995年に連載がスタートした『天は赤い河のほとり』や、1980年スタートの『3年奇面組』(『ハイスクール!奇面組』)、1978年の連載が始まった『うる星やつら』などがアニメ化・再アニメ化は記憶に新しい。
なぜ、いまアニメ化するのか。その背景には、物語が現代の空気に合い、海外のアニメファンにも受け入れられるとの判断があるのだろう。そう考えると、「古(いにしえ)の物語」とも言われてしまいそうな時期のコミックが、なんと先鋭的だったのか、と思わされる。スマホを登場させるだけで、物語の舞台を「現代」にでき、なおかつ連載当時を知らない人々をも魅了していくドラマ。今後はどんな作品が日の目を見るのかも楽しみになってしまう。
◆色彩豊かに動き出す『彼方から』の世界

そんな時を超える名作の一角を占める『彼方から』が2026年終盤を駆け抜けていく。壮大な異世界ファンタジーであるだけに、ノリコとイザークの過酷な旅路と運命の物語がどこまで描かれるのか、気になるところだ。これから出会っていく仲間たちや街の景色など期待が高まる。かつてドラマCDとして音声化はされていたけれど、これから現代のアニメーション技術で、あの異世界が色彩豊かに描かれるのだ。ワクワクと胸を高鳴らせながら、次回を待ちたい。
TVアニメ『彼方から』作品情報
放送情報
2026年10月4日(日)より、TOKYO MX、ABCテレビ、WOWOW、AT-Xにて放送開始!
<放送情報>
■TOKYO MX :10月4日(日)より 毎週日曜 24:00~
■AT-X :10月7日(水)より 毎週水曜 23:30~
リピート放送:毎週金曜 11:30~/毎週火曜 17:30~
■ABCテレビ :10月10日(土)より 毎週土曜 26:30~
■WOWOW :10月13日(火)より 毎週火曜 24:00~(全話無料放送)
各種動画配信サービス
各種動画配信サービスにて、10月5日(月)より順次配信を開始いたします。
<先行配信>
配信開始日時:2026年10月5日(月)0時30分以降~順次
対象サービス:U-NEXT、アニメ放題、アニメタイムズ
<一般配信>
配信開始日時:2026年10月10日(土)0時30分以降~順次
対象サービス:各種動画配信サービス
<最新話期間限定無料配信>
配信開始日時:2026年10月10日(土)0時30分以降~順次
対象サービス:TVer
<個別課金サービス>
配信開始日時:2026年10月10日(土)0時30分以降~順次
対象サービス:各種個別課金サービス
詳細な配信サービスについては、公式サイトよりご確認ください。
【STAFF】
原作‧脚本監修:ひかわきょうこ「彼方から」(白泉社)
監督:阿部記之
シリーズ構成:たかすぎ梨香
キャラクターデザイン:安彦英二
美術監督:黛昌樹
色彩設計:桂木今里
撮影監督:李仁周
編集:白石あかね
音楽:はまたけし(Cosmic Wave)
音響監督:矢野さとし
音響効果:田中秀実
音響制作:Ai Addiction
アニメーション制作:スタジオディーン
製作:彼方から製作委員会
【CAST】
立木典子:CV.黒沢ともよ
イザーク・キア・タージ:CV.熊谷健太郎
ラチェフ:CV.梅原裕一郎
ケイモス・リー・ゴーダ:CV.竹内栄治
ガーヤ:CV.斉藤貴美子
ゴーリヤ:CV.宮澤正
アゴル:CV.中野泰佑
ジーナハース:CV.伊藤美来
【主題歌】
オープニング主題歌:原因は自分にある。「逃光行」(SDR / Polydor Records)
エンディング主題歌:名無し之太郎「光の側で」(UNIVERSAL MUSIC / Polydor Records)
©ひかわきょうこ‧白泉社∕彼方から製作委員会











